～今年の新入社員の傾向は～
１． ワークライフバランスを重視し、安定した生活を目指す
・希望する生き方については「平凡な生き方」が23.7％で初めて1位となったが、「自分の能力を発揮できる生き方」と「幸福な家庭を築きたい」が20.8％、「お金を貯めて豊かな生活」も20.1％とあまり差はない。（問1）
・社会人生活への期待は「収入が得られる」60.4％、「人間としての成長」52.2％の2項目が過半数を超えた。（問3）
・仕事で重視することの1位は「仕事のやりがい・楽しさ」で60.2％、2位「収入」で48.8％。 次いで、「自分自身の成長」43.2％、「良好な人間関係」39.6％、「プライベートの充実」 32.6％となった。（問5）
・仕事とプライベートの優先度に関しては、「プライベート優先」「どちらかといえばプライベ ート優先」で7割を超えた。（問13）
・理想の年収（30歳時点）は、400万円台が1位で31.4％、2位が500万円台の22.4％、3位 300万円台18.5％となった。500万円以上と答えた人が46.2％となり、昨年よりも9.2ポイント上昇した。（問14）

２．良質なコミュニケーションと寄り添った丁寧な指導、適切な承認が必要
・社会人生活での不安は「仕事についていけるか」が67.9％と圧倒的だが、「職場での人間関係」も48.1％と2人に1人が選択。（問４）
・仕事上で重視することについても「良質な人間関係」は39.6％と高い選択率。（問5）
・職場環境に望むのは、1位「お互いに協力し助け合う風土」65.3％、2位「アットホームな 　雰囲気」45.8％。（問8）
・上司や先輩に期待することは、「仕事に関しての丁寧な指導」が1位で48.6％。次いで、2位「きちんとほめる」35.7％、3位「相手の意見や考えをよく聞く」31.4％となった。（問９）

 ３．成長意欲は高い。必要なのは積極的なアウトプットと理解できている
・今後の期待として「人間としての成長」52.2％の他にも、「技術・スキルを身につけられ る」31.9％、「新しいことに挑戦できる」29.6％が高い選択率。（問3）
・仕事をする上で重視することについても43.2％が「自分自身の成長」を挙げている。（問5）
・自信のある能力については「傾聴力」が40.6％で1位。今後強化していきたいことは、1位の「主体性」38.8％をはじめ、「発信力」26.2％、「実行力」24.7％、「働きかけ力」23.9％と、仕事をしていく上では積極的なアウトプットが必要と認識できている。


【まとめ】
今年の新入社員は学生生活において、もっとも新型コロナの影響を受けた世代である。様々な 行動制限があり、コミュニケーションの大部分がオンラインへ移行し、人との接触機会が大幅に減 少。そのため、逆に人との触れ合いの大切さを理解し、職場環境には良質なコミュニケーションを 求めるのではないだろうか。さらには、近年はロシア・ウクライナ戦争による国際社会の緊張、原 料価格や物流費の高騰による物価高など、外部環境の変化に自分たちの生活が翻弄されること に直面したことにより、安定を強く求めるようになったと推察される。 「Z世代」や「さとり世代」と呼ばれる世代で過剰な物欲などがなく、必死に働いて給料を稼ぐと いうよりも、自分のライフスタイルを尊重して生きたいという傾向が強い。それでも自分自身への 成長期待は感じられ、そのために必要な能力やスキルについても十分理解できている。また、デ ジタルネイティブで様々なツールを使い答えを導くことに関しては高いスキルを持っている。 　世代間の価値観の違いを受け入れ、これまで以上に不安な面や経験不足の部分を汲み取っ た接し方が必要となる。「これくらいわかるだろう」という思考を持たず、できるだけ丁寧な指導を 心がけることにより、うまくいけば思いがけない成果を発揮するかもしれない。